過去の記事「家庭用の太陽光発電で確実に利益(不労所得)を得られるのか」で、設置後7年未満で初期投資の回収が完了し、固定期間買取制度満了の10年を迎えるまでの残り3年程度が丸々利益となることを見積もっていました(投資額1000千円、回収額1470千円、利益470千円)。
同じく、過去の記事「太陽光発電の1年間の発電実績と、導入前に行った利益(不労所得)算定のための試算との比較」において、発電実績が利益算定の試算とほぼ一致しておりましたので、次のステップとして、太陽光発電の寿命到来というかなり先の時期までの「未来予想」を行うこととした次第です。
まずは算定のための各パラメータの設定です。ココがなんとも難しいものです。
太陽光発電(太陽電池)は、日本国内で既に30年以上稼動している実績があります。また現在、太陽光パネルは木造住宅の屋根に載っていますから、木造住宅の耐用年数(概ね35年)を超えて発電を継続させることは現実的ではありません。太陽光パネル(モジュール)のメーカーによる出力保証は20年間あります。これらの要素から、太陽光パネルの寿命(=発電期間)は「30年」と設定します。併せて、構造が単純な周辺機器、部材。例えば接続箱やケーブル類、開閉器類も同様に寿命30年とし、更新費を計上しないこととします。
構造が複雑で長期の使用が困難なもの。例えばパワーコンディショナや電力計測機器類はメーカーによる保証が10年となっています。直感的には15年くらいは持ちそうですが算定を安全側にするためにこれらの機器の寿命は「10年」とし、30年間に2回の更新費(約300千円)を見込むこととします。
それでは算定に移ります。前述の通り、初期投資額は1000(千円)です。回収額については、10年までで1470(千円)です。
固定価格買取制度が終わった10年以降は、売電単価を9円/kWh、自家消費分の電力使用量単価を27円/kWh、1ヶ月あたりの自家消費量を約100kWhと仮定すれば、
<売電分の収入>
4490-(100×12)=3290kWh
9×3290=29(千円)
<自家消費分の金額メリット>
100×12=1200kWh
27×1200=32(千円)
年間収入は上記の合計で61(千円)です。固定価格買取制度下と比較するとずいぶん安くなってしまいました。
これが20年で1220(千円)の収入となりますが、機器の更新費用である300(千円)を差し引くと920(千円)となります。
よって、10年までの収入と合算すると2390(千円)。初期投資を差し引くと1390(千円)の利益です。
ここで課題(要改善点)が二つほど見えてきました。一つは10年経過以降の収益の改善です。売電よりも自家消費を絶対的に増やすべきで、どの程度まで増やせるかが検討課題です。もう一つは、発電能力の低下を計算に織り込んでいないことです。これは下振れの要素ですから確実に織り込む必要があると考えます。なので上記の利益は暫定値としたいと考えます。